『安心と笑顔の社会保障ネットワーク』は、感染者の出ていない介護施設の職員に対して「何もしていないのに何で慰労金を出すのか」と発言した兵庫県知事に対して、謝罪と全ての職員に慰労金を支払うように求めました【写真右】。一方、3年前の児童館バット殴打事件で後遺症が残った女性職員Aさんに対して誠意のある対応ではなかった神戸市に対して、Aさんは、「暴力を受けても救急車も呼べない教育・児童福祉関係者の現状を変えたい」と約35,000筆を超える署名を集め提出したのち、記者発表しました【写真左】。医療・介護・福祉職場の改善を求めていきます。
【コロナ発信】①コロナから見えてくること「教育」「福祉」
2月末、安倍首相が突然、全国一斉休校要請を出しました。それを機に、子どもたちをめぐる教育や福祉では、多くの問題が露わになりました。平常時からの課題でもあります。
【第1段階】3か月の一斉休業期間
突然の一斉休校要請に、学校・学童保育所は大混乱に陥り、保護者の戸惑いをも招きました。そもそも、休校要請ができるのは各自治体であって、安倍首相にはその権限はありません。しかし、99%の自治体は国の方針に従いました。それ以降、子どもたちの学ぶ場を奪うことに、学ぶ権利を奪うことになりました。学校がダメで、なぜ学童が〇なのか・・・納得できません。現状を知らない国の愚策だと言えます。
今、共働き家庭が増えたことで、就学前・後の子どもたちの受け皿の需要が増えましたが、現状は、絶対的に不足しており、待機児童解消問題は、全国どこの自治体も喫緊の課題として突きつけられています。数少ない学童保育所に過密状態で過ごす子どもたち。そこに、子どもたちの緊急時の居場所を求めたのが、国や自治体の方針でした。教育委員会と保健福祉局(当時)との連携、保育士・支援員等の人員不足、ひとり親家庭への経済的影響、虐待やDV等の「家庭リスク」の高まり、教員の心身の負担増、給食が唯一の食源の子どもの“食”の保障等々、多くの問題が露わになりました。
【第2段階】一斉休業から分散登校へ
保育所・学童保育所では、特別保育が実施されました。特別保育とは、社会的機能を維持する職業―医療従事者・消防・警察・介護従事者―の子どもを対象に受け入れるというものです。しかし、共働き家庭、ひとり親家庭、ダブル・トリプルワークで働いている人にとって、預ける場所が保障されないということは致命的です。そもそも、社会的機能を維持する職業は、全ての職業に言えることであり、このような一方的な線引きの実施に疑問を感じました。その一方で、子どもたちは、分散登校が始まりました。一学級20人程度です。それを経験した教員は、「子どもたち一人ひとりの顔が見える」「圧倒的に子ども一人ひとりに目が行き届き関わることができた」と、好評でした。これを機に、少人数制教育に拍車がかかり始めました。
【第3段階】学校再開から今に至るまでの段階
3か月間の休業の影響は大きく、6月末で85人の児童・生徒が不登校でした。不登校の理由は様々ですが、更にその後ろには、屋外活動・社会的交流の減少で抑うつ傾向を持つ子ども等、不登校になり兼ねない子どもがいます。夏季休業明けが心配です。神戸市は、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーを増員しましたが、何よりも子どもの生活リズムを取り戻すことに力を入れなければなりません。授業の遅れの解消のために時間数の確保に奔走した教育委員会に対して、学習指導要領の内容の精選・精査を!受験生の受験範囲等を狭め早急に生徒に周知するよう求めました。子どもたちをこれ以上追い詰めないでほしいと思います。
【第4段階】今後の学校教育
この間、授業の保障ということで、神戸市は、長期休業に備えてオンライン授業を急遽推進しています。既に、塾や私学、遠隔地では取り入れられていますが、機器はスマホが絶対的に多い・一世帯に一つの媒体しかない・ネット環境がない・住宅環境がない・サポート体制がない・通信費の負担増など多くの問題を抱えています。そもそも低学年の子供にとっては、緊張感が続きます。オンライン授業を決して否定するわけではありませんが、公教育として、教育格差を生む恐れがあるのではないかと思えるオンライン授業の推進については、慎重な対応を求めています。教員にとっての負担増にもなりかねないオンライン授業です。
【コロナ発信】②コロナから見えてくること「介護」
超高齢社会。高齢者・障がい者が老後を安心して暮らすためには、医療・介護・年金等の社会保障制度の充実が求められています。この間、「PCR検査がなぜできないのか」と、たくさんの問い合わせがありました。検査が進まないその背景には、様々な理由がありますが、行財政改革の一環で保健所・病院が減らされ、保健師等の職員が減らされたことで、コロナ禍に対応できる十分な体制がないことも一要因だと言えます。医療だけではありません。介護も同様です。今回のような緊急事態が起きると、即、そのしわ寄せは、脆弱な基盤の上に成り立っている介護の分野等に影響が露われます。
【介護の現状】
●高齢者や障がい者、持病のある人への感染リスクが高く介護クラスターが発生しやすい
●介護職員にとって、食事・入浴等、生活に欠かせない行為そのものの感染リスクが大きく、常に、三密のうちの一つ、密接を避けられない仕事を担っている
●医療現場が優先される中、マスク・防護服・消毒液が絶対的な不足
等々があります。介護現場は、かなり早い段階で面会禁止、利用施設の一本化、家族介護への移行、自主休業に至った介護施設がみられましたが、介護環境が変わる中、介護する側は心身の負担増に、介護される側は認知能力・心身の衰えが見られるようになっていると聞いています。
【神戸市の対策】
①コロナ感染症が発生または濃厚接触者に対応した施設・事業所に勤務し、利用者と接した職員に対して緊急包括支援交付金=慰労金20万円を支給。前記以外の施設・事業所に勤務し利用者と接した職員に対して慰労金5万円を支給(国の対策)⇒ 職員個人に支給されたかどうかチェックが必要です。
➁福祉サービス事業所給付事業として、1事業所当たり20万円の給付金を支給⇒金額はわずかですが、使途は問われていません。
③応援職員を派遣する社会福祉施設等、協力事業所に対して人件費相当分を助成
④要介護認定を受けられなかった人への介護サービス利用料の助成
⑤家族介護者が入院し、在宅での生活が困難になった高齢者・障がい者の
一時受け入れ施設を設置
⑥収入が減少した被保険者に係わる国民健康保険料・介護保険料の減免
⑦介護予防体操のテレビ放映
⑧厚労省の指導のもとでの介護施設用のガイドライン配布・・・・・・・・・・等々
【今後に向けての課題】
①密接を避けられない介護職員の仕事への理解、その対策
② コロナ感染は労災として認められたが、8月7日現在、
医療関係職員の請求件数は、593件(支給件数は253件)、
介護・福祉関係職員の請求件数は、93件(支給件数は、37件)
③介護施設の人員不足解消のための待遇改善
④ 感染リスクの高い介護職員の心のケア
⑤ 介護施設における感染者についての情報共有
⑥ 介護施設における感染者の受け入れ先病院・施設の確保
⑦介護施設におけるマスク・消毒液・防護服の充足・備蓄
⑧ コロナ感染に限らず、平常時からの医療と介護の連携
⑨ コロナ感染に限らず、平常時からの公(行政)と民(介護施設)との連携
⇒民間丸投げの介護保険制度においては、行政の支援が行き届きにくい
【コロナ発信】③ 補正予算に対しての緊急要望
1. PCR検査の拡充・拡大について
①神戸市医師会と協力した地域外来・検査センターの設置を拡大されたい。
②医療産業都市内の研究機関、民間検査機関、大学研究室等と協力されたい。
③ 医療従事者・介護従事者等、感染リスクの高い職種を優先して検査実施をされたい。
*神戸市内に、中等症以上の患者を対象とするコロナ専門病院の設置を検討されたい。
2、学校対策について
【分散登校時】
①マスク・消毒液、教職員へのフェイスシールド配布等、十分な感染防止対策のもとでの再開を。
*妊娠中の教職員には特に配慮を
②子供の心理的ケアに繋がる”生活リズム“の立て直しに力を入れていただきたい。
・ 安全安心な”食“を提供するために、弁当給食等の実施を。
・ 感染防止対策のもと、早急に運動場や図書室の開放を(学童保育の児童も対象に)。
【全面再開後】
①休業時間確保のために、子どもに過度の負担を背負わせないでいただきたい。
・ 学習指導要領の精査を
・ 運動会・音楽会・校外学習等々は、内容の工夫で中止を避けられたい。
・ 高校入学選抜では、出題の範囲の限定、並びに早期の周知等々、特別な配慮を。
②子どもの心のケア・虐待防止に力を入れていただきたい。
・ スクールソーシャルワーカー・スクールカウンセラーの増員
・ 電話相談や相談窓口等々、カウンセリング体制の整備
*様々な措置については、時間的余裕をもって提示、学校・保護者・子どもに周知を。
3、経済対策について
①アルバイトで仕事を失った学生と人手不足の中小企業への支援を。
②神戸市在住の大学生等々の通学のための交通費の補助を。
高齢者や障がい者、子ども、女性の「働く場」「集う場」の紹介コーナー
ご案内します!㉑「第13回たんぽぽカフェ」
先の見えないコロナ禍。ご自身、ご家族、職場等々、様々な困りごとがあるのではないかと思います。そこで、今回のたんぽぽカフェは「困りごと相談会」にさせていただきます。ソーシャルディスタンスに配慮して事前の予約制にさせていただきます。ご了解ください。予約できなかった場合は、後日、相談を受けさせていただきます。
【地域発信】 夏 ・・・いのち・平和を語り継ぐ
◆都賀川水難事故犠牲者を偲ぶ会
2008年7月28日、ゲリラ豪雨による急激な流れにより、灘区の都賀川で3人の子どもを含む5人の方が亡くなりました。その後、六甲小学校の保護者を中心に『「7月28日を子どもの命を守る日に」実行委員会』が立ち上げられ、毎年の偲ぶ会の取り組みや子どもたちの命を守るための取り組みに力を入れてこられました。
今年は、コロナ禍でもあり、慰霊祭【写真上】と二つの会場を借りてのパネル展が開かれました。皆さんに折っていただいた鶴を持って、参加しました。何年経っても忘れられない、決して忘れてはならないことです。子どもの命を守るためにできることをできる形で取り組んでいきます。
◆展開中!核兵器廃絶のための国際署名運動
戦後75年、被爆75年の今年。いつも以上に、戦争や原爆について考える企画や報道がなされました。しかし、コロナ禍もあって、十分なアピールができたとは言えず、残念です。
被爆者の平均年齢は83歳。これを最後の運動と位置付けて、この5年間取り組んできたのが「核兵器廃絶国際署名」です。皆さん、既にご署名していただけたでしょうか。2016年から始められ、今年が最終の年です。
その一方では、被爆者による署名運動の後押しもあり、2017年7月7日、国連で、核兵器禁止条約が122か国の賛成で採択されました。この条約が効力を持ち、発効するためには、50か国の批准が必要です。8月9日現在、44か国の批准を得ました。あと6か国の批准が必要です。ところが、唯一の被爆国の日本は、未だに署名も批准もしていません。安倍首相は、原爆忌の挨拶で、あくまでも核保有国とそうでない国の”橋渡し“の役を・・・と語りました。被爆国日本は、本来ならば、先頭に立って、署名・批准をし、締約国にならなければなりません。それが多くの被爆者の切なる願いでもあります。昨年の長崎の原爆忌の折、被爆者のお一人が、安倍首相に向かって「あなたはどこの国の総理ですか」と、声を振り絞るように尋ねたことが忘れられません。司法でようやく被爆者として認められた「黒い雨」訴訟に対しても控訴しようとしているのがこの国です。怒りと悔しさが込み上げてきます。時間がありません。「生きている間に核兵器をなくしたい」と懸命に署名運動に取り組む被爆者に寄り添いながら私たちもできることをできる形で取り組んでいきたいと思います。
◆「原爆と人間」写真展
今年も「原爆と人間」写真展が開催されました。今年の写真は、国連で展示されたもので、英文で紹介されていました。被爆75年 語り継ぐ・・・後世に戦争・原爆の悲惨さを平和の尊さを語り継ぐことが求められています。語り部さんによるDVDの作成、2世の会の活動等々、被爆者の皆さんは、様々な努力をされています。被爆者の皆さんに寄り添いながら、できることをできる形で取り組んでいきます。
【倶楽部発信】できることを できる形で
◆『たんぽぽ倶楽部』前には、毎年、7月になったら、二つの折り鶴の箱が置かれます。2008年7月28日の都賀川水難事故犠牲者に手向ける折り鶴と1945年8月6日、広島原爆で亡くなられた方に手向ける折り鶴の箱です。通りすがりの親子が折ったりご自宅で折って持ってこられた方等々、たくさんの人の思いが集まります。今年も集まりました。そしてそれをそれぞれの会場に届けました。ご協力いただいた方に心から感謝申し上げます。「忘れてはならない」と、これからも続けていきます。
今年は、折り鶴の箱に加え、「不要なマスクがございましたら、お譲りください。路上生活者の方々に届けます」と、赤い紙袋も置かせていただきました。これにもたくさんの方のご協力でマスク、とりわけ愚策としか思えないアベマスクが集まりました。
当初は、路上生活者の支援団体にお渡しする予定でしたが、使えないマスクを届けるのはいかがなものかと思っていました。ところが、西宮の障がい者福祉作業所のメンバーが使えないマスクをリメイクし販売しているという情報が入り、そちらに回すことになりました。有効活用できて良かったと思います。これもまた、ご協力いただいた方に心から感謝申し上げます。
◆『たんぽぽ倶楽部』前には、二つの折り鶴の箱の横に、前述した「核兵器廃絶国際署名」用紙も置いています。締め切りは9月中旬です。署名まだの方は、ぜひご協力宜しくお願い致します。
◆『たんぽぽ倶楽部』前には、水道筋の“工作おじさん”こと青柳さんも廃材を使った工作を再開しています。学校が一斉休校になり、学校から地域から子どもが消えてしまい、工作テーブルにやってくる子どもたちがいなくなりました。学校が再開し、子どもたちが戻ってきました。大人にとっても、癒される場にもなっています。お立ち寄りください.
【編 集 後 記】
◆早いもので、8月ももう終わりです。今年は、春の桜も初夏の新緑も楽しむ間もなく過ぎ、今、猛暑・酷暑の夏が過ぎようとしています。
2年前・・・6月の大阪北部地震、7月の西日本大豪雨、8月の猛暑・酷暑、9月の北海道地震・台風と、わずか3か月間に災害が多発しました。今年もよく雨が降り続きました。雨が降ると、私は、篠原台が心配になります。今、土砂災害対策のために、東堰堤工事=砂防ダムが建設されています。完成はまだ2年以上先です。それまで「大丈夫なのか」「心配ないのか」。この間、灘区役所や神戸市建設局に「安全対策についての進捗状況を住民に市民に十分に周知してほしい」と申し入れを重ねています。これは、決して篠原台だけの問題ではありません。◆コロナ、コロナで、皆さんもお疲れだと思います。先が見えないだけに余計です。今、そしてこれからは、コロナ災害、熱中症、自然災害との複合災害に向き合わなければならない日々になります。ご自身の身体にお気を付けていただき、ご一緒に今を乗り超えていきましょう。(小林るみ子)